

山口県・長門湯本温泉??人口約3万人の小さな市にある温泉地で、「まちをまるごとリノベーション(再生)する」という前例のない挑戦が始まりました。
本書は、その現場のど真ん中にいた元官僚のエリアマネージャーと、長年にわたり全国のまちと温泉地を取材してきた旅ジャーナリストが、迷いや葛藤も含めて書き残した「現場の記録」です。
老舗旅館の破綻をきっかけに、市は公費での解体に踏み切り、「一軒を救う」のではなく「温泉街をまるごと再生する」、という大胆な方針を掲げました。そこに加わったのが、霞が関から派遣された若手官僚、ホテル運営で知られる星野リゾート、そしてさまざまなジャンルから集められた外部専門家たち。行政・地銀・地域、地元旅館の若旦那たちが世代を超えて手を取り合い、「川と歩く体験を軸にした温泉街」をめざして動き始めます。
外湯の民設民営による再建、河川を活用した社会実験、景観ガイドラインづくり、空き家活用第1号のカフェ誕生、入湯税引き上げを実現し、それを活用する基金の設立??。そのすべての決断と合意形成の裏には、「住む人も訪れる人も豊かな気持ちになり、次の世代につなげることができるのか」という問いがありました。
まちづくりの専門用語や、先進事例ゆえの複雑な仕組みも、一般読者にもわかりやすく噛みくだいて紹介。図表やまとめを多く掲載するのも本書の特徴です。
官僚を辞めて現場に立ち、まちの再生に挑んだ木村隼斗氏と、10年にわたりその歩みを追い続けた旅ジャーナリスト・のかたあきこ。異なる立場から見つめた10年を、一冊にまとめました。
なぜその判断に至ったのか、どうやって人と立場を超えてつながったのか。
それぞれの視点が交差することで、長門湯本温泉の10年が立体的に浮かび上がります。
かつて静まり返っていたまちが、いまでは「令和の温泉街再生モデル」として全国から注目を集め、視察や取材が絶えない長門湯本温泉。その変化の核心には、仕組みではなく“人の力”がありました。
温泉が好きな人、旅が好きな人、観光やまちづくりに関わるすべての人へ届けたい一冊。読むと、旅に出たくなる。まちを変えた人たちの10年の物語です。
※本データはこの商品が発売された時点の情報です。
