本と映画は切っても切れない仲なのに、本の雑誌は映画と距離を置いているようにみえるのはなぜ? というわけで、本の雑誌9月号はそんなあなたの疑問に答える映画と本の大特集、題して「映画天国!」だ。読んで観るか?観てから読むか?座談会から、文学者の映画エッセイの魅力にジャンル別映画ノンフィクションガイド、「映画横丁」編集長の独白に映画本三大辣腕編集者座談会、そしておじさん三人組が坪内祐三氏をオブザーバーに迎え、ワイズ出版に潜入する西新宿シネマツアーまで、映画映画映画本本本本映画の30ページ。さあ、あなたは読んでから観るか、観てから読むか?
新刊めったくたガイドは、酒井貞道がウィルフォード『拾った女』を恋愛ノワールの傑作である!と断言すれば、都甲幸治は思考と女性性の軋みを描く『分解する』でリディア・デイヴィスの魅力を堪能。大森望が宇宙探偵リドルフの無茶な解決に拍手をすれば、円堂都司昭は道尾秀介『スタフ』の卵のようなもろさに子どもの頃の惨事を思い出す。沢田史郎が若さがむずがゆい『ラジオラジオラジオ!』にむずむずすれば、青木大輔は『須賀敦子の手紙』の筆跡の手ざわりにつるとはな。そして北上次郎は並行世界を行き来する究極の初恋小説にどっぷり。さあ、同時発売の二冊が生み出す、きわどいリアルをあなたも実感してくれぃ!
そして今月から西村賢太の新連載「一私小説家の日乗 新起の章」がスタート! 本人曰くオリックスから広島への移籍という世紀の移籍で一私小説作家の日乗がどう変わるか。期待大だ。ちなみに8月号までの連載「文豪ばかりが作家じゃないと、いつか教えてくれた人たち」はWEB本の雑誌に舞台を変えて続くので、こちらも乞うご期待! さらに今月は読者アンケートが「この業界小説が好きだ!」でインディペンデントな4ページで登場すれば、読み物作家ガイドは白石一文の巻。135ページに本人が新刊を手に写っているが、まったくの偶然。あっと驚く白石一文の10冊に注目だあ。内澤旬子「着せ替えの手帖」にいよいよ炎の営業が登場すれば、堀井憲一郎は岩波文庫の緑メンバーの生年をゆるーく調査。坪内祐三が「あまから」と間違えて「てんぷら」を買ってしまえば、平松洋子はうさ、うさ、うさの三拍子! 暑さマックスのニッポンの夏も本の雑誌9月号を持って映画館に行けば冷房ぎんぎん。さあ、あなたは読んでから観る?
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