

物性物理学は、物理学の主要な一大分野であり、現代の科学技術の基盤をなしている。20世紀初頭以後現代に至るまで、実験技術の進歩と理論的手法の開発により、間断なく知見が付け加えられ続けている。本書は、四つの部で構成され、物性物理学の膨大な分野の現代までの成果が詳しく解説されている。第1部では、固体中の電子の性質と格子振動に関する基礎的事項が、素励起という統一した視点からまとめられている。第2部では、電子の外場に対する応答および密度汎関数理論が分かり易く説明されている。第3部では、光学的性質と輸送現象に焦点を当て、励起子、ポーラロン、ランダウ準位、量子ホール効果とボルツマン方程式に基づく輸送現象の取り扱いが詳しく説明される。最後の第4部では、固体の示す興味深い性質である超伝導、磁性およびグラフェンなどの低次元系とナノ構造体が詳細に議論される。本書は、現在までに確立された物性物理学の理論的手法と実験研究の成果の集大成であり、理論的定式と実験成果の要点およびその背後にある物理が、無類の分かり易さで丁寧に説明されており、この分野の研究者を目指す学生・大学院生必読の教科書、また物性物理研究者の机上に必備の参考書である。
※本データはこの商品が発売された時点の情報です。
