

本稿で初公開となる五彩や青花は、陳朝後期の皇帝窯とも言える皇帝直轄の窯で焼造された官窯製品と推察できる格調高き遺品である。しかも、過去にその例を全く見ていないことからも、皇帝一族の超特別な独占物であり秘陶であったと想像される。したがって、本書ではこれらを正しく皇帝の陶磁器とみなし、ベトナム陶磁史から抜け落ちていた知られざる栄光の一章を明らかにするとともに、ベトナム国家の主体性と伝統美の神髄を浮き彫りにしつつ、定説となっている往来の編年を遙かに超えた新見解に基づき、歴史を踏まえた新たな陶磁史を再構築している。そして、現世に忽然と甦ったベトナムの至宝をここに『ベトナムの皇帝陶磁』と命名し出版する。
※本データはこの商品が発売された時点の情報です。
