この本は、ベーシックインカム(BI)への賛成論と反対論を一とおり読者に紹介することを目的としている。BIとは、年齢や性別、婚姻状態、就労状況、就労歴に関係なくすべての個人に、権利として現金(もしくはそれと同等のもの)を給付する制度のことだ。本書ではBIとはどういうものか、この制度が必要とされる根拠であるところの三つの側面、すなわち正義、自由、安全について論じ、経済面での意義にも触れる。また、BIに対して唱えられてきた反対論、とくに財源面での実現可能性と労働力供給への影響についても検討する。さらに、制度の導入を目指すうえでの実務的・政治的な課題も見ていく。
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