従来の研究では、朝鮮王朝政府は建国以来、朱子学を国家の根本思想とする崇儒政策を実施する一方、高麗時代に隆盛した護国仏教の排斥・抑圧政策を推進したとされてきた。しかし、新国家の形成理念である朱子学と個人の信仰である仏教が社会で共存していた状況を考慮せず、崇儒と斥仏・抑仏を安易に結びつけていた。本書では、15〜16世紀の仏教政策を検証することで、王朝政府は斥仏・抑仏を目的としたのではなく、僧尼を国家体制内に収め、土木事業の遂行や王室主催の仏事運営に活用しようとしていたことを明らかにする。
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