

戦前・戦中期の図書館界は、文部省などの行政組織の意向を受け、検閲や思想善導、選書を積極的におこないながら、天皇制を利用して全国に図書館を設置しようと試みていた―。行幸啓、大正・昭和大礼、「紀元二千六百年」など、戦前・戦中期において天皇制に絡んだ一大メディア・イベントの詳細をたどりながら、各イベントごとに全国各地に設立された、あるいは設立が断念された図書館の実態やそれ以前の構想を発掘して、当時の図書館人たちがどのように天皇制に接近して図書館界の発展をもくろんだのか、その欲望の高揚と挫折の歴史を新史料を交えながら描き出す。知という名の暴力、あるいは知をめぐる暴力の最前線にいつづける図書館と図書館人の戦争責任・戦後責任を問う。
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