わが足はかくこそ立てれ重力のあらむかぎりを私しつつ(『一刹那』)〓外短歌の魅力は、世界と自分をユーモアたっぷりに総括してみせるところにある。後の「我百首」や「奈良五十首」でくきやかに示されるところだが、この歌などはその嚆矢と見える。その由来は、ひとつには彼のもって生まれた性格、いまひとつには西洋体験だろう。地球が自分を引っ張る重力を受けながら、私はこの二本の足で立っている。あたかも地球の力を全部自分のものとしたかのように。強い二句切れを利かせつつ、知識人が世界を楽しむやりかたを示した歌だ。
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