

アメリカの国立公園は、「国民の身体的・精神的健康を育む」ことを主要な目的として制度化され、戦時のナショナリズムと結びつきながら開発されてきた。本書では、ラトゥールの近代論とマイヤーの新制度派組織論を手がかりに、官僚的組織としての国立公園局が、社会の変化を背景にいかにして自然を管理してきたのかを描出する。そこから見えてくるのは、「保護」と「利用」というジレンマを抱えながらも、「自然の管理者」として正当性を獲得し、多様な価値を飲み込んでいく“システム”だった。近代以後に生きる人間と自然とのつながりを再考する力作。
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