心不全は循環器疾患の中で最大の難関であり,数多くの課題をはらみ,また患者数は高齢化社会に伴い増加の一途を辿っている。さらに予後不良な患者が多く,心不全増悪による入院の既往がある症例では,死亡率は年率約5〜10%,入院後1年以内の再入院率はおおよそ30%と,他の循環器疾患に比べると格段に高い。治療を困難にさせている原因が病態の複雑さである。心臓は,その折々の様々な負荷に対して適応と破綻を繰り返して今の状態に至っている。それを紐解くには病歴や様々な診断ツールから得られた情報から解読する必要がある。
この心不全に心臓カテーテル検査をどのように活用していけばいいのかが,本書籍の根幹をなしている。現在,冠動脈疾患と不整脈を中心に活用されている心臓カテーテル検査を,患者数が激増している心不全に対しても同様に活用するべきであるが,統一したプロトコルがなく,結果を解釈できる医師が少ないことから心不全患者の心臓カテーテル検査は敬遠される傾向にある。
本書は,心不全関連の心臓カテーテルの手技・プロトコル・基本解釈といったhow-toの内容を盛り込み,読者が実践できる具体的な心臓カテーテル活用方法を解説。心不全心カテのバイブルとしてご活用いただける一冊である。
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