イランを支配したモンゴル帝国の一ウルス(国)、イル・ハン朝で、ワズィール(宰相)として権勢をふるい、モンゴル帝国史の第一級史料となる歴史書『集史』を編纂した政治家・歴史家、ラシード・アッディーン。ユダヤ教徒の医師であった彼は、イスラームをみずからの信仰に選び、ガザン・ハンの改革を支え、イル・ハン朝がイランのムスリム王朝として立つ道を、文化政策をとおして切り拓こうとした。イル・ハン朝に並走したその生涯は、西アジア・イスラーム史における「モンゴルの時代」を映す鏡といえるだろう。
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