

古代共和制の伝統の名残やキリスト教世界の理念が展開するなか、中世イタリアの都市民は、本来の理想を完全に放棄せず、遵守もせず、抜け道を探してさまざまな制度やシステムを生み出し、そして活用した。そこには矛盾や欺瞞が満ちているが、広い世界に躍進しようとする気質、たくましさが鮮やかに浮かび上がって見えてくる。中世イタリア都市の制度やシステム、その利用者としての都市民を描くなかで、彼らの行動原理や都市社会の魅力を語っていこうと思う。芸術面に限らない彼らの創意工夫の歴史の一端を、本書を通じて読者は垣間見ることができるだろう。
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