

道元の『正法眼蔵』で取り上げられるテーマは、真理・実在・心・自然・時間・生死・因果・修行・証悟など多領域にわたっているが、結局のところ、「自己とは何か」すなわち「父母未生以前の本来の面目は何か」という問題に集約される。道元は「覚」“さとり”の境位から現実の世界を「仏性」自身のあらわれとして、いいかえれば無差別・平等の真実そのものの世界として描き出す。本書において、仏教的というよりもむしろ日本的ともいうべき道元思想の精髄が、親鸞・本居宣長・西田幾多郎等の思想との比較・対照において余すところなく示される。
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