

物質の性質は量子力学と統計力学を用いれば、原理的には解明できる。しかし、物質はアボガドロ数(約6×10 23乗)の原子核と通常はその10倍以上もの電子からなっている。この複雑な問題を実際に解くことを可能とすることに、いくつもの重要な理論的進展があり、計算技術が開発されてきた。本書は、物質の電子状態を計算で明らかにするための基盤的な理論を詳細に解説し、基礎方程式を解く上での数値計算技術も紹介している。上巻では、理論的基盤のうちでも特に、密度汎関数論と擬ポテンシャル法について詳しく解説されている。原著初版は2004年出版、その改訂版が2020年に出版され、本書はその改訂版に対応している。著者が改訂版に取り入れた話題はトポロジカル絶縁体であるが、日本語版では下巻に割り当てられる。上巻ではその重要な話題である密度汎関数論の説明が大幅に増強された。もちろん、全般にわたって新しい研究成果が取り入れられている。
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