

本書は、おおよそ鎖国期以降の時代に限定し、「日本美術」とその外部との関係を問い直していく。従来、歴史といえば国民国家の枠組みを自明視した各国史が支配的であるが、この枠組みを近代国民国家意識が未成立だった時代にまで遡って無批判に当て嵌めるのは不適切であるとの認識が広がっている。また近代の国民文化論には、かえって文化交流の実態を覆い隠すという欠点も見逃せない。そこで、情報の流通や授受からいかに造形が生まれ、いかに美術と呼ばれる営みが活性化されていったかに注目していく。
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