≪浩宮さまも、はじめは、「パパ」「ママ」であった。幼児には発音しやすい呼び方だから、そのほうが自然だったのである。幼児語からの卒業を心がけるようになってからは、皇室の習慣にしたがって「おもうちゃま」「おたたちゃま」と改めて行った。いずれは、「ちゃま」でなく「さま」になるための段階として――。
幼児語にさようならするには、まず周囲がそれを使って語りかけないようにすると同時に、ひとつひとつの言葉について、根気よく言いなおしをくり返して行かなければならない。私は、意識して、そのことに努めた。
その他の宮さまの幼児語は、ほとんど、こどものすべてが使う言葉と、同じであった。ブーブー(自動車)、ワンワン(犬)、トット(にわとり)、デチュ(です)、アチュイ(熱い)。宮さまが「ワンワン」と言われると、そのたびに私は、じっとお顔を見て「いぬ(ヽヽ)ですね」と言いなおすようにした≫(本書「二 楽しかった幼稚園生活」より)
皇室の姿、感動の日常!
東宮侍従として、浩宮さま(現在、天皇陛下)の「ご養育掛り」を約10年間もつとめ、「オーちゃん」と呼ばれていた著者(故人)。当時の日常が、あるがままに、感動の逸話で彩られた本書を、装い新たに、解説を付して、文庫版で復刊致しました。
上皇陛下、そして上皇后美智子さまの子育ての姿、浩宮さまの日常に、心が揺さぶられます。
「よき日本人とは、よき家庭とは」を考えさせられる一冊です。
〔目次〕
一 幼き日の思い出
私が決意した日/人間として立派に/美智子さまの育児心得ノート/オーちゃん、ごめんなさい
二 楽しかった幼稚園生活
集団の中で育つ抵抗力/ボク、大きくなりたい/詩情豊かな人に/独立心を育てる
三 少年時代のご教育
お父さまゆずりの制服/背番号3の浩宮さま/はじめての"ひとり旅"/お母さまとしての美智子さま/三人きょうだいの兄/皇室を継ぐ方として/御所を去る日に
あとがき
解説:笛吹雅子<日本テレビ 解説委員(皇室担当)>
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