ステロイドは,生体内でさまざまなはたらきをもつステロイド骨格をもつホルモンの総称です.とくに臨床上では,ステロイドホルモンのうちのグルココルチコイドの作用が活用され,「ステロイド薬」として,炎症性の疾患などの治療に用いられています.このステロイド薬は,使用目的や患者さんの状態によって用法・用量が異なり,また,必要に応じてかなりの高用量で使用される場合もあります.グルココルチコイドは正しく用いれば有用な効果を発揮する一方,多くの副作用があり,慎重な経過観察や用量調整が求められ,患者さん自身が治療に不安や懸念を抱くことも多々あります.
今回は,前半は,薬学生時代くわしく学ぶ機会がなかったステロイドホルモンの生化学的なはたらきをおさらいし,後半は主に経口グルココルチコイドの臨床での使いどころや,副作用・相互作用などの知識を整理します.
【主な内容】
■ステロイド骨格をもつホルモンいろいろ
1.ステロイド骨格の構造とステロイドホルモンの合成
2.ステロイドホルモンの分類とその種類
■副腎皮質ホルモンのはたらきからみる
「経口グルココルチコイド」
1.副腎のはたらきとグルココルチコイド・ミネラルコルチコイドの作用
2.グルココルチコイドが標的とする多彩な遺伝子
グルココルチコイドの作用
3.炎症・アレルギーを鎮める作用
4.免疫を抑える作用
5.栄養素代謝に関する作用
6.水・ミネラル代謝に関する作用
7.骨代謝に関する作用
■「経口グルココルチコイド」比べてみました
1.副腎皮質ホルモン vs. 経口グルココルチコイド−作用時間と効力の比較
2.経口 vs. 注射−効果・副作用の比較と剤形変更時の投与量換算
3.全身性 vs. 局所−剤形別にみた副作用の違い
4.短期投与 vs. 長期投与−内服期間による副作用の違い
5.グルココルチコイド投与量と感染症合併率の関係
■投与方法イロイロ!
経口グルココルチコイドの投与設計
1.膠原病・リウマチ科
2.呼吸器科─気管支喘息・COPD─
3.消化器科─炎症性腸疾患─
4.腎臓内科
5.皮膚科
■その併用薬どうする?
経口グルココルチコイド服用時の薬学管理
1.抗菌薬
2.抗真菌薬
3.ワクチン接種
4.経口血糖降下薬
5.インスリン製剤
6.利尿薬
7.抗血栓薬
8.活性型ビタミンD製剤
9.サリチル酸系抗炎症薬
10.NK-1受容体拮抗薬
・最近のコクシ 経口ステロイド
・ハマゾン.co.jp「アメリカは,今日もステロイドを打つ」
・漢方検分録 ケースで学ぶ漢方薬の安全チェック「漢方薬による消化器系の副作用に注意する」
・プレイバック物化生「核酸に含まれる塩基とDNAの基本」
※本データはこの商品が発売された時点の情報です。