

地域・在宅における療養支援を支える看護技術や,疾患・対象に応じた看護を具体的に解説したテキスト.新カリキュラムの「地域・在宅看護論」に対応し,前版『NiCE在宅看護論 改訂第2版』から全面リニューアル して2分冊化. 在宅看護で遭遇する頻度が高い場面や重要な課題について具体的な事例をもとに看護過程を展開.
【はじめに(序文)】 *抜粋・改編
2020 年に,保健師助産師看護師学校養成所指定規則上の「在宅看護論」という科目は名称が「地域・在宅看護論」に変更され,基礎看護学の次に位置づけられ単位数も4 単位から6 単位に増加しました.それを受けてこのテキストは,2011 年発行の『NiCE 在宅看護論』初版,2016 年発行の同改訂第2 版を土台にしながら2 名の新編集者を加え,書名を『NiCE地域・在宅看護論I 総論/II 支援論』の2分冊に改めて発刊するものです.
『NiCE 地域・在宅看護論I 総論─地域における暮らしと健康の理解を深める』では,看護の対象となる地域で暮らす多様な人々をより広い視野で捉え,その文化や生活に合わせた看護を展開するための基礎的な学習内容を提供しています.それを受け,本書『NiCE 地域・在宅看護論II 支援論─暮らしの場における多様な支援を考える』では,『I 総論』の学びをより実践に即して考え,看護師の行動として具現化できることを目指しました.したがって机上での学習だけでなく,地域・在宅看護実習の場においても,本書は大いに役立つものと考えます.
在宅看護の場は,疾患だけでなく地域の気候,風土,文化,時代背景,そして家族構成も個別性が高く,疾患以外の多様な条件が,そこで暮らす人々の心身の健康面に影響していることがわかります.看護師には,患者さん一人ひとりの過去の暮らし,そして現在の暮らしを理解し,共に未来を思い描きながら常に伴走者でいることが期待されています.そのため初学者の皆さんには,より具体的な在宅看護技術や在宅看護過程を示すことが重要と考え本書を編集しました.
本書には経験豊富なたくさんの看護実践者による多様な事例が掲載されています.看護に唯一の正解や100 点満点の正解はありません.地域・在宅看護実習においては,本書にある事例をその都度参考にしながら,それぞれの地域,文化や生活背景に合わせ,さらに学生の強みでもある柔軟な発想力を加えて,伸び伸びと個別性の高い在宅看護過程を展開してほしいと願っています.
これから看護職となる皆さんには,どのような場で働こうとも,誰もが地域・在宅で主体性をもって自分らしく暮らしているという事実を大切にし,支援していただきたいと思います.そして地域・在宅で自分らしい暮らしの継続を願う人々の笑顔を引き出し,より幸せな時間を届けることのできる看護専門職に育っていかれることを,心より期待しています.
2023年12月
石垣 和子
上野 まり
徳田 真由美
辻村 真由子
※本データはこの商品が発売された時点の情報です。
