

看護師免許をもつ教員らによる,“看護師に必要な関係法規”を看護の立場から解説したテキストの改訂版.法や制度の成立過程やその意義,看護職や看護実践にどのように関わるのかを解説した,これまでにない構成が特徴.今改訂ではここ数年で新たに施行された法・制度について項目を新設し,情報をアップデート.
【はじめに(序文)】 *抜粋・改編
看護師になりたいと思っている人には,感染症の発生要因・予防等の知識だけでなく感染症に関する法・制度の知識も必要となる.“ 患者や地域住民を護りたい” のであれば,法・制度を理解し,感染者への対応にあたっては,いかに制限を少なくして治療や制限のストレスを緩和し,できるだけその人の日常の生活に近づけるよう考えることが重要であろう.本書の感染症法の項目でも解説されているように,過去には感染症患者への差別や偏見があったことを受け止め,常に人権尊重の視点を看護実践に取り入れていくことが重要である.医療に携わる看護師は患者・地域住民の立場から法・制度をチェックし,課題とその解決法を提言していくことが求められると考える.
さて,本書は,看護職が中心となり法学・薬学の専門家らと協働して作成した看護に関係する法規のテキスト(以下,看護関係法規)の第2 版である.初版と同様,法や制度を事実のみならず,その社会背景や成立過程,看護業務に与えた影響・意義等を解説し,看護職者としてその法・制度を学ぶ意義や,看護業務との関わりを理解しながら看護関係法規を学べる内容としている.さらに初版では掲載しなかった法・制度や,ここ数年で施行・交付された法・制度について解説を追加し,以下のような構成・内容としている.
第I章では,看護関係法規と現実の臨床看護との関わりを解説し,さらにLGBT 理解推進法や性同一障害者の取り扱いの特例に関する法律などを新たに追加した.第II章は,医療提供体制の基本となる医療法改正とかかりつけ医機能の追記を行った.第III章は,医薬品等に関する法律を解説し,電子処方箋など医薬品に関するDX を加筆した.第IV章では,地域で看護を提供する際に必要な法・制度を説明し,新たに新型インフルエンザ等対策特別措置法,医療的ケア児支援法などを追記した.第V章は,医師の働き方改革やタスクシフト・シェアを追記し,これから社会人となる看護学生が,労働者としての自分の権利と義務を自覚し,活き活きと働き続けられるよう労働法について解説した.第VI章では,チーム医療における医療過誤事件に遭遇した場合の法的責任から看護師としての行動を学習できるようにした.最後に第VII章では患者の代弁者・アドボケーターとしての看護師の政策的な思考の重要性を解説した.
本書の活用によって,看護に関する法・制度に一層関心を深めていただくことを期待したい.
2023 年12月
田中 幸子
野村 陽子
※本データはこの商品が発売された時点の情報です。
