本書は、スペイン語母語話者および日本人スペイン語学習者がスペイン語の平叙文・疑問文などのイントネーションパターンをどのように知覚するか、また、各群にどのような類似点や相違点が見られるかを実験的に観察したスペイン語論文である。南山大学学術叢書。
第1章「序」では、本研究の目的、対象領域、および構成について述べる。第2章「先行研究」では、主に3つの視点から本研究に関する先行研究を整理する。第1に「現代のイントネーションの理論的研究」について、第2に「スペイン語に関する実験的なイントネーション研究(特に平叙文と絶対疑問文)」について、第3に「スペイン語を外国語として学ぶ学習者のイントネーション知覚に関する研究」についてである。
第3章以降が本研究の中核をなす部分で、スペイン語母語話者が、韻律情報だけで文の種類をどの程度認識できるかを観察した実験研究である。ここから、特に平叙文と上昇調疑問文の場合、韻律情報だけでも文の種類の同定は高い確率で可能であり、下降調疑問文と句末の場合もある程度の認識は可能であることが示された。
第4章は、第3章で指摘した課題を観察するためのケーススタディである。第5章と第6章は、第3章と第4章の結果を受けた、いわば「本実験」である。第7章では、全体のまとめを行い、また実験方法・解析方法について改善が望まれる点などを指摘し、今後なされるべき課題を示した。
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