もう一歩先へ進みたい人の化学でつかえる線形代数/北條博彦

著:北條博彦
出版社:コロナ社
発売日:2025年07月
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内容紹介
学生:「これって『化学で使える線形代数』なんですか?」
教授:「ええ,でも『化学で閊(つか)える線形代数』ともかけてるんですよ」
学生:「あー,ダジャレなんですね。それにしても“閊える”ってすごい字ですね,門の中に山って」
教授:「しかも,困難を乗り越える“Hurdling”と,使いこなす“Handling”もかけてるんです」
学生:「あー,はいはい。でも線形代数って化学に必要なんですか?」
教授:「話すと長くなるけれども,・・・(以下略)」

本書は化学を専攻している人の視点で書いた線形代数の本です。化学ではいろいろな問題に出会いますが,その中には線形代数的な要素を隠しもったものがたくさんあります(特に化学系の学生にとって,量子化学のつまづきは,ほぼ線形代数部分でのつまづきです)。本書ではその中から代表的なものを拾いあげ,線形代数の顔をあらわにしながら,あわせて線形代数の用語やルールを説明していこうと考えました。

本書の構成は,以下の通りです。
はじめに: 代数とは? 線形とは? の問に始まり,線形代数の主役である行列を紹介します。線形代数がわかると何がうれしいか,その入り口を少しだけ案内します。
第1章 分子構造: 直交座標軸上に表した原子位置の移動(並進・回転)を通じて,行列計算のルールや逆行列の意味がわかります。
第2章 結晶格子: 斜交座標系の具体例として結晶格子を扱い,結晶格子のいろいろな変形を通じて行列式の意味がわかります。結晶学で必須の逆格子から,反変成分,共変成分,計量テンソルにまで話は広がります。
第3章 対称性と群論: 分子や結晶の対称性を記述する群論について解説します。指標表や既約表現が使いこなせるようになります。壁紙群や空間群を数学的に表現するアフィンという考え方も紹介します。
第4章 分子力学: 分子の回転運動を通じて,固有値と固有ベクトルの意味がわかります。テンソルの考え方を紹介し,これを使って分子内部の変形について考えます。分子の基準振動から,基底の直交化にまで話は広がります。
第5章 多変量解析: データやスペクトルの処理を例にとり,最小二乗法や相関係数などを線形代数のことばで解説します。主成分分析による次元削減の操作を通じて,固有値分解や特異値分解の意味がわかります。
第6章 量子化学: ベクトルの抽象化を通じて,なぜ波動関数の二乗が存在確率を表すのかがわかります。分子軌道理論が線形代数のことばで語られ,計算結果の意味がわかるようになります。

※本データはこの商品が発売された時点の情報です。