電気音響/苣木禎史/大賀寿郎

編著:苣木禎史 ほか共著:大賀寿郎
出版社:コロナ社
発売日:2020年03月
シリーズ名等:音響学講座 2
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内容紹介
電気音響分野は,ベルによる電話の発明,エジソンによる電気蓄音機など19世紀の音響と電気の結びつき,すなわち古典的なマイクロフォンやスピーカというアクチュエータ自体の研究から始まった。技術が高度化した現在では,アクチュエータ自体のみならず,雑音抑圧,エコーキャンセラ,マルチチャネルでの信号分離・合成などディジタル信号処理を中心とした研究領域を取り扱っている。この研究分野は現在の音響情報処理の基幹となる重要な分野である。
電気音響は,空気を媒質とし,その圧力の粗密を機械的な仕組みでセンシングし,電気信号に変換する概念が原点である。最近では,材料や製造技術の発達に伴い,安価にマイクロフォンやスピーカが手に入るようになった。このため,複数のマイクロフォンやスピーカを利用した技術や,半導体技術の進歩によるディジタル信号処理技術の高度化により,より豊かな音を取り扱えるようになった。さらには,数理的な学問の進展による統計的信号処理,ヒトの聴覚特性を利用した圧縮技術,音響情報ハイディングなど幅広い研究が行われている。
昨今,マイクロフォン,スピーカ,そして信号処理技術が様々な身近な場面や製品で利用されている。簡便に利用できる状況になったがゆえに,それらの特性や原理を十分に知らずに利用することもあり,正確に計測や処理ができていないことも見受けられる。用いるアクチュエータの取扱い方や信号処理技術を正しく理解することにより,既存の製品もより一層の進歩が期待できるため,是非とも本書を用いて基礎的な特性や原理を学んでいただきたい。
本書では,上述のように音響学における幅広い領域での根幹を成す技術について取り扱う。第1章では,電気音響変換器の基本といえる磁界,電界を用いるオーディオトランスデューサなどの種々のトランスデューサの仕組みなどについて述べ,次にオーディオトランスデューサの感度と周波数特性などについて記している。第2章では,音響機器およびその基本要素であるトランスデューサの性能を正確に計測する基本技術について述べている。第3章では,複数チャネルでの収音・再生について述べている。第4章では,符号化,適応信号処理,アレイ信号処理,統計的信号処理,そして音響情報ハイディングについて述べている。

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