自分と同じ不幸な境遇の女二人を幸せにしようと二つの家庭を築いた男。二つの家庭を同じように愛し懸命に生きた男の数奇な運命、残された二人の妻と子供達の行く末を思うと自身番書役、喜三次の心が複雑に揺れる。髪結床猫字屋の佐吉の実の父親が生きていた?七歳のとき大火で親兄弟とはぐれ死んだと思っていた父親。いや、大火になる以前からいなかったも同然の父親が、今、何故?何度問いかけても答えは返ってこない。庶民の心の哀歓を心やさしく描く。書下ろし時代小説シリーズ第四弾。
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