北町奉行所定町廻り同心・神岡冬右衛門の養子となり、義父の役目を踏襲した茂平。新米同心として精進していたある日、蔵前の両替商が蕨の松太郎一味に襲われ、一万両が奪われた。松太郎は南町奉行所が十年追っていた賊ゆえに、南町も乗り出し、南北奉行所は一触即発の状態になっていく。そんな折、茂平の天真爛漫な性格と、なにものにも囚われない自由な気質が両奉行所を動かし、南北合同体制が敷かれた。探索には加わらない茂平だったが、道場帰りに彼を襲った無頼漢から松太郎のことが漏れてきた。茂平は老練な岡っ引きと盟友の力を借り、松太郎を追い詰めていく。書下ろし長篇人情時代小説。
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