上州・渋川村での生活の貧困と苦しさに耐えかねて家を飛び出し、江戸へ出た百姓・茂平。気が荒くて乱暴者だが、曲がったことは嫌いな男だった。生きていくためにやった盗みと喧嘩がきっかけで、両国を縄張りにする侠客一家に身を寄せた。茂平の一本気で純朴な性格を見抜いた一家の長・長兵衛は、旧知の剣客の許へ茂平を内弟子として預けた。破天荒な生活から一変し、厳しい剣の修行を重ねる茂平に、思いを寄せる百姓娘と剣客の孫娘。やがて茂平は、心・技・体ともに成長して武家の養子となり、ついには百姓の気持ちが分かる侍となる。江戸情緒あふれる書下ろし長篇時代小説。
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