

ルベーグ積分で必要とされる定理は「単調収束定理」,「ファトゥの補題」,「ルベーグの収束定理」の3つである。これらの定理を使いこなせると,微分積分の科目で習得した一様収束の概念を経由することなく積分と極限の記号の交換ができるようになる。このことは解析学において基本になる。ルベーグ積分の教科書は非常に多いが,本書では最短の方法でこれらの定理に到達することができるように構成を工夫した。さらに,本書ではルベーグ積分がなぜ重要かを説明するために,関数の微分可能性に関して説明した。ほかの応用として,確率論,フーリエ解析とルベーグ積分が,それぞれどのように結びついているのかについて説明した。確率論やフーリエ解析の講義で素通りされやすい箇所に限定して説明している。これらは証明に時間がかかりすぎてしまうという難点があるが,測度論に関して詳述している本書の強みを生かしてこれらの箇所を丁寧に説明した。また,多くの演習問題を設け,それらに関する詳しい解答も与えた。
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