

エコゲノミクスとは、生態学的に興味深い現象をゲノムレベルで遺伝的に解剖していく最新の研究分野である。
ゲノム情報は生態学に何をもたらしたのか。ゲノムとは生物のもつ遺伝情報全体を示し、すべての生物はゲノムと環境の影響により表現型を発現する。これまで、生態学ではその表現型に基づく生物と環境あるいは生物間相互作用の解明を、ゲノム学では生物の全ゲノム解読を主な目標として、両者が交わることはなかった。しかしながら近年の分子生物学の発展は、様々な生物におけるゲノム情報の解明を可能にし、エコゲノミクスが生態学の主要分野の1つとなった。
本書では、遺伝子解析からの適応研究に焦点を絞り、今もなお発展し続けるエコゲノミクスの全体像を概観することを目的に編纂した。I部では遺伝的変異と適応研究のこれまでについて、II部では適応遺伝子の探索法について、III部では適応遺伝子の機能について、IV部では適応遺伝子の進化について、各分野の第一線で活躍する研究者によりわかりやすくまとめられている。本書は、これからの生態学における新たな指針となる一冊である。
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