上巻・巻四の女帝即位の記事を受けて、巻五では、女帝の善政が語られる。巻六は巻五の並びの巻で、女帝の義妹である前斎宮とその周辺の人物の、奇妙で猥雑な生活が描かれる。巻五巻末で女帝が急死し、即位した新帝は、皇太后への恋情に身を焼き、悩んだ皇太后は絶命し、帝も息を引き取る。こうした不幸な出来事の反省から、今上は善政を心がけて政治改革をおしすすめている。代々の帝の様相を縦軸に、物語は多くの錯綜した恋模様を語り、巻八巻末では、対抗し続けて来た左大臣・右大臣両家が深い縁に結ばれていることを描いて大団円を迎える。周到に構成された、七代・四十五年に及ぶ中世王朝物語屈指の大作。
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