

木幡の姫君は、異母兄の秋の君と、武士で義弟の伊予守から思いを寄せられる。やがて入内が予定されるが、伊予守と契りを結ぶに至り、入内は取り消される。その後、老中務宮の後妻となるが、最後は帝寵に浴し、伊予守は出家を遂げる。鎌倉期成立の本作品は悲恋遁世譚の流れをくむ作品と捉えられてきたが、主人公を武士に設定している点、兄妹恋愛譚や男色を織り込んでいる点、帝寵を嘆く女と、出家により一蓮托生を成し遂げる男という従来と逆の構図など、平安朝の王朝物語には見られない特徴を多数有した画期的な作品である。
※本データはこの商品が発売された時点の情報です。
