時は戦国。京から遠く、平穏な紀州の地に、影の流を遣う兄弟、孫四郎と源五がいた。田畑を耕し、剣の修行に励むふたりだったが、孫四郎がふと振るった刃筋を見た源五は突如出奔してしまう。兄は剣を持たず、鍬を振るうだけの毎日を過ごしながらも、則天去私の極意を身につけていたのだ。出奔した源五が加わったのは傭兵集団の雑賀衆。頭の鈴木孫一は、権と金に塗れながら、鉄砲放ちの技を極める冷酷非道な男だった。悲しみに暮れる孫四郎。高笑いする孫一。氷炭相容れないふたりが激突、剣が宙に閃き、弾が空を穿つ時、何が生まれるのか?空前絶後の剣豪小説。
※本データはこの商品が発売された時点の情報です。