今やノーベル物理学賞を得るに至った日本の天文学。そのルーツは江戸期の「天才たち」の功績にまで遡る。「重力」「遠心力」「真空」など現在でも残る数多の物理学用語を生み出した翻訳の達人・志筑忠雄。「無限の広がりを持つ宇宙」の姿を想像し、宇宙人の存在を予言した豪商の番頭・山片蟠桃。そして天才絵師でありながら天文学に熱中し、人々に地動説を紹介した司馬江漢。彼らはそれぞれ通詞(通訳)・商人・画家という本業を持ちながら、好奇心の赴くまま自由に宇宙を論じたのだった。本書は現代日本を代表する宇宙物理学者が、そうした江戸時代後期の在野の学者らによる破天荒な活躍を追いつつ、当時の宇宙論の先見性を再評価した一冊である。
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