戦後、日本人は「戦争と平和」をいかに認識し、その認識はどのように変化したのか―。1989年以降の日本社会における「戦争と平和」の精神史を叙述し、市民的価値観が弱まり、“戦争の文化”が胎動していく様相を、歴史社会学的、思想的アプローチを通して考察し、戦後日本における国家と個人の位相を捉える。1990年代の「第三の開国」による“平和主義のグローバル化”、2000年代に広まった新自由主義がもたらした“日常のサバイバル=戦争化”、ウクライナ戦争後に強まりつつある“パワー・ポリティクス的な世界把握の浸透”。これらを経て平和主義がより現実主義的なものに変質していく動静を明らかにし、民主主義の行方を示す、著者の新境地。
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