著者は僧侶で宗教学者。『歎異抄』『維摩経』のわかりやすく深い解説は評判だ。認知症の介護、喪失体験にも向き合っている。本書は、人間のこころを奥底からとらえる「恐れ、怒り、笑い、悲哀、老・病・死」をお経で読み解く。あるひとりのフリーライターが仏教学者、宗教学者、芸能研究者、心理学者、NPO法人・死を考える会代表に、現代人の悩みと苦しみを問いかけて、答えに耳をかたむけた。お経は解きほぐされ、仏典のエピソードは、現代の問題と結びついて身近だ。「恐れ」については、『恐怖経』『日本霊異記』を、「怒り」は『誹謗経』からアンガーマネジメントへ、「笑い」は『百喩経』『薔薇の名前』、禅、落語を手がかりにした。そして「悲哀」は『観無量寿経』と『涅槃経』や『歎異抄』をひもとき、「老・病・死」は『大般涅槃経』にみるブッダの臨終へ…。仏教の知恵はこころの苦しみから一歩を踏み出す指針に満ちている。
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