飢え、酷寒、重労働という「三重苦」に耐え、シベリア捕虜たちが生き抜いた強さはどこから生まれたのか。彼らが残した絵画、俳句・川柳・短歌、コムソモリスク、沿海地方、ライチハ、チタ、カラガンダなどで数多く生まれた捕虜楽劇団の活動から、苦難の体験を「生きる力」に変えた芸術表現と精神性をたどる。回想記・手紙・ロシア紙など史料のほか聞き取り、フィールドワークから彼らの内面世界を描く。登場するのは名曲「異国の丘」でも知られる作曲家・吉田正、栗原照夫(後のスマイリー小原)、黒柳守綱、山本幡男、田中猛、蜂谷彌三郎、阿彦哲郎、「ハバロフスク日本人墓地の墓守り」として知られる吉田明男ほか、香月泰男、横山操、佐藤清らの絵画、木内信夫のイラスト画なども紹介。南信四郎、戸泉米子といった通訳たちの奮闘や、著者に送られた外国発のメールから調査し判明した元満鉄調査マン・原田道治の数奇な運命と交流についても描く。
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