平安に暮らす女房の視線で、その日常を明るく軽やかに描いた随筆として有名な『枕草子』。だが、作者・清少納言の執筆の真意は“お仕えする中宮定子の御ため”その一点にこそあった。生前は定子の心を慰めるために、死後にはその鎮魂のために思いを込めて―。定子の死後、その敵方であった藤原道長の権勢極まる世で、『枕草子』は潰されることなく、平安社会に流布した。果たしてこの事実は何を意味するのか。『枕草子』が平安社会を生き延びるために、清少納言が駆使した戦略とは?冒頭「春はあけぼの」に込められた、真実の思いとは?『枕草子』のまったく新しい扉が、ここに開かれる。
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