壬申の乱に勝利した天武天皇は、中国の律令制の導入に踏み切った。戦塵の中で生まれた律令国家が最も必要としたのは、全土掌握のための緊急通信システム、駅制だった。緊急情報は、文書を携えた駅使らが駅路を疾走、最速で都に届けられた。そのスピードは、現代のロードレースの世界記録に匹敵する。超人アスリートでなくても、誰でもいち早く確実に情報を届ける通信システム。その運用はなぜ可能だったのか。馬小屋の様子など各地の遺跡調査で見えてきた駅家の実態と、文学含め多岐にわたる史料とを照らし合わせ、古代国家体制の駅路設置の真の目的を考える。
※本データはこの商品が発売された時点の情報です。