神武天皇による建国から二千六百年とされた1940年、大日本帝国では万世一系をたたえるさまざまな記念行事がくり広げられた。帝国臣民は定時に宮城を遙拝し、皇国史を学び、愛国歌・作文の募集に応じ、聖地を訪れ、催事を見に出かけた。神社を拡張整備する勤労奉仕もいとわなかった。こうした大衆参加を促したのは国だけではない。新聞社や出版社、百貨店、鉄道会社などの民間企業も祝典をビジネスチャンスととらえていた。帝国全土にわたる消費と観光を支えたのは近代ナショナリズムである。
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