我を問ひしかば 我を問うなかれ 完結編/一成・アンダー木
堺泉北ニュータウン児童誘拐殺害事件の犯人として逮捕され、刑期を勤め出所した敷島亮介は、出所後も己の犯行に確証が持てず、事件の不可解さに疑問を抱くも、臆病な自尊心は敢えてそれを問わず胸中奥深くに閉じ込めていた。
生活のために、差したる目的もなく私立探偵を始めるが、調査依頼の仕事を受ける中から、最終的にはアノ事件に再び向き合わざるを得なくなり、己を問う長い旅が始まる。
コーヒーに煙草を燻らしながらJAZZを聴くことを心の拠り所として、人間とは何か、生きていくことはどういうことなのかを、社会の闇、人間の闇に翻弄されながら、アノ事件を通して曖昧性と必然性を敷島亮介は虚しく再認識する。
■□ 著者のプロフィール ――――――――――――――□■
大阪市出身、幼少期から高校卒業まで兵庫で育つ。
物心ついた頃にはベトナム戦争一色の時代、東大の入試も中止、地方の二流大学を卒業後、オイルショックにもかかわらず大阪本社の準大手のゼネコンに就職。
定年退職まで一途に経理畑を標榜するも報われず、退職後、親の介護の傍ら執筆活動を行う。