【大活字本】大衆明治史【国民版】下巻 (響林社の大活字本シリーズ) 三省堂書店オンデマンド
出版社:響林社
著者名:菊池寛
【大活字本について】
響林社の大活字本シリーズは、B5サイズ(週刊誌大)、活字はMS明朝で、20-22ポイント程度の大きさの活字になっています。
『大衆明治史(国民版)』の大活字本については、現代仮名遣いとし、難解な字については振り仮名を多めに付けて読みやすくしました。「サンプルを見る」欄をクリックしてご覧下さい。
【解説】
響林社では、響林社文庫シリーズとして、昭和17年(1942年)汎洋社発行の『大衆明治史(国民版)』を、2016年に電子書籍(版面固定型)の形で復刻本として発刊したところですが、今回、紙書籍の「大活字本シリーズ」として、上下2分冊で発行することに致しました。
上巻では、明治維新から日清戦争終結に至るまでの出来事―廃藩置県、西南戦争、政党の創立、国軍の建設、憲法発布、条約改正に向けた交渉、日清戦争と三国干渉などが、それらに携わった人物にスポットライトを当てて、描かれています。
下巻では、まず、南下するロシアとの間で緊張が高まる中で、厳しい財政事情下で師団増設に努めたこと、1900年に北京で起こった反キリスト教、排外主義の民衆蜂起である北清事変(義和団の乱)で、規律に優れた日本軍がその鎮圧に貢献し、日本の声価を高めたことが描かれます。
そして、明治の歴史のクライマックスである日露戦争へと記述は移っていきます。異例の児玉総参謀長の登用、203高地をめぐる激戦とロシア旅順艦隊の撃破、数十万の兵力がぶつかる未曾有の一大決戦となった奉天会戦での苦難の末の勝利、続いて東郷平八郎指揮下の聯合艦隊によるロシアの精鋭バルチック艦隊を撃滅した日本海海戦での完勝と、日露戦争で日本は陸海ともに勝利を収め、世界に様々な衝撃を与えました。
ルーズベルト米大統領の仲介でポーツマス講和会議が開催されましたが、ロシア側の大きな譲歩は得られませんでした。全権小村寿太郎外相は決裂やむなしとの意向を固めたものの、日本政府は、軍事、財政の両面で限界であり講和成立が絶対の急務であるとの訓令を発し、ここに講和は成りました。
講和条件についての国民の憤激と、大国ロシアに勝利した新興日本に対する西欧列強の警戒感を招くことにもなりましたが、他方で、西欧列強の植民地であった多くの国々を勇気づけ、覚醒させることにもなったことはしばしば指摘されるところです。
本書を読み通してみると、明治日本は、半世紀にも満たぬ間に驚異的な近代化を成し遂げたものの、その過程では多くの苦難があり、それを乗り越えることができたのは、世界の大勢を洞見した優れた指導者たちと国民の挙国一致の団結とによってであったことがひしひしと感じられます。
【下巻の収録内容】
川上操六と師団増設/ 北清事変
対露強硬論と七博士/ 日露開戦
児玉総参謀長/ 奉天会戦
日本海海戦/ ポーツマス会議/ 明治の終焉
【お薦め】
本書については、朗読をCD(全4巻)や各ネット配信にて販売しています。最新のAI技術による合成音声で、肉声に極めて近い自然な読み上げになっています。「大衆明治史 CD」で検索して下さい。