遠く呼ぶ声 歌集 / 後藤由紀恵/著
現代をしなやかに生きる著者10年ぶり待望の第3歌集気がつけばこんなにも遠くまで来てしまった。人生はいつ何がおこるかわからない。ときに悲しみに押しつぶされそうになることもあるが、遥か遠くから、私を呼ぶ声がする。その声に応えるように、私はここで歌とともに生きてゆく。現代をしなやかに生きる著者10年ぶり待望の第3歌集。(本書「帯文」より)<br><br>【五首選】<br>カレンダー白きまま夏は近づけり 素足で砂を踏むような日々<br>子を生さぬ幸も不幸もひといきに呑み込む夜の鯉ぞわれらは<br>遠く遠く呼ぶ声のして振り向けばただ中空にまひるまの月<br>うちがわをうすく削がれてゆく午後の外線電話またも灯りぬ<br>水鳥もわれらもほろびしのちの世を池とベンチを照らす光よ<br><br>装幀:倉本修<br>