マルクスの労働価値論 / 大澤健 著

 労働価値論の古典的論争の考察などを通じて,マルクスの経済理論の構造が一般的に考えられている価格論や価値論とはまったく違っているだけではなく,そもそもの解明すべき課題が異なっていると考えるようになった。そこで,初期マルクスにさかのぼって,彼独自の理論がどのような問題意識のもとに成立してきたのかについて考察を行った。<br> こうした一連の研究の結果が本書である。本書の第3 章が,最終的に筆者が行きついた結論である。マルクスは,人類の歴史を「労働」の発展段階によって通史的に考察する唯物史観という方法論を用いていて,その「労働」を資本主義分析のためのカテゴリーである「価値」へと変換するための理論として労働価値論を用いている。そこで明らかにされるのは,資本主義社会で労働が社会的に媒介される際にとる独自の「形態」である。資本主義社会では,労働は一元的に「量」に還元されて媒介され,モノの量的等値が社会的関係を全面的に支配することがこの理論によって解明されている。(「あとがき」より)<br>大澤健 著
創風社
2023年03月
マルクス ノ ロウドウ カチロン
オオサワ タケシ
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