ヒマラヤ桜 五行歌集 / 神部和子/著
ひっそりとそこにあるうた秋田の雪深い街に生まれ、自然を敬い、謙虚で真摯な人の魂。<br>ひそやかで、控えめではあるが、芯の強さや温もりを求める素直な心。<br>読み終わるとなんだか泣きたくなるような、きれいな雪景色をみたような思いがする一冊。<br><br> 歌集で伝わってくるのも、そのひっそりとした存在感で、それがなんともいえず、よいのである。<br> そのひっそりとした世界に、すっと引き込まれるように歌集を読む。こういう、うたびとっていいな、と思う。その静けさや、人を安心させるおだやかな日常性までが、彼女の体と同化しているように感じられる。<br> <br> 射ぬくような<br> 閃光<br> 雷鳴の一撃<br> 雪野原は<br> 身じろぎもしない<br><br> どんな激しさも、その世界に呑み込まれてしまい、何も変らず、ひっそりとそこにある。<br>(草壁焔太跋文より引用)<br>