日本の鍛冶の技術論 / 永田和宏
日本の鍛冶は,たたら製鉄で作った鋼材同士を藁灰と泥を掛けて加熱,いとも簡単に溶接し,錆び難く地肌に美しい模様をもつ刃物を生み出す.現代の鉄鋼にはない優れた特徴をもつ理由を自身の鍛冶体験を通して解き明かした書.■日本の鍛冶の特徴は,たたら製鉄で造った 鋼塊(〓,けら)を錬ることにある.これを鍛錬という.鋼塊を潰し,積み重ねて藁灰と泥を塗し,真赤に加熱して打つと互いに面が溶接する.これを延して折り曲げ溶接する.刃物は4,5回鍛錬する.<br>■なぜこのように簡単に鍛接面を溶接できるのか.計測器もない1500年も前の時代に何を指標にして鍛接作業を行ったのだろうか.その指標は,炎の中に生じる白い火花「沸き花」である.鍛錬した鋼は錆び難く,刃物の地肌に模様を生み出す.<br>■これらのことを筆者の鍛冶体験を通して明らかにする.本書は,一般の人が砂鉄から作った〓を使って作品を作製するための鍛冶の入門書である.<br>永田和宏
アグネ技術センター
2023年07月
ニホン ノ カジ ノ ギジユツロン
ナガタ カズヒロ
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