寒気氾濫 歌集 / 渡辺松男/著
【収録歌より】<br />橋として身をなげだしているものへ秋分の日の雲の影過ぐ<br />つくづくとメタフィジカルな寒卵閻浮提(えんぶだい)容れ卓上に澄む<br />キャベツのなかはどこへ行きてもキャベツにて人生のようにくらくらとする<br />背を丸め茂吉いずこを行くならん乳房(にゅうぼう)雲(うん)はくろぐろとくる<br />赤ん坊花びらのような声を呑みはじめての重き月を見にけり<br />樹は内に一千年後の樹を感じくすぐったくてならない春ぞ<br>渡辺松男/著
書肆 侃侃房
2021年09月
カンキ ハンラン カシユウ ゲンダイ タンカ クラシツクス 8
ワタナベ,マツオ
現代短歌クラシックス 08/