源氏物語=反復と模倣 / 熊野 純彦 著

因果の海に運命は反復し、悲しみは回帰する。<br><br>時は過ぎ去る。この至高の瞬間もほどなく過ぎ去ってゆく。至上の時は、それを二度と取りもどすことがかなわないことで、かえって記憶のなかで繰りかえし反復され、それじたい回帰し、時間の流れそのものをやがて支配することになる。過ぎ去った一点に凍りついた思いが、時間を逆流させ、時を歪めて、ひとのいとなみを撓め、悲劇を手ぐりよせるしだいとなるだろう。――本文より<br>熊野 純彦 著
作品社
2020年03月
ゲンジ モノガタリ ハンプク ト モホウ
クマノ スミヒコ
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