“善玉”としてのヒスタミン 花粉症から薬の作用を考える / 谷内一彦/著

花粉症をテーマにヒスタミンと抗ヒスタミン薬の最新の考え方を紹介し、薬の作用メカニズムをわかりやすく解説する。ヒスタミンは現代の薬理学の礎を築いたノーベル賞受賞者のHenry Daleにより発見された。アレルギー反応への関与が見出されて以来、その生理作用について多くの研究が行われている。ヒスタミンはアレルギーの起因物質として一般には「悪玉」と考えられているが、最近の研究からヒスタミンの生理作用は生体にとって有益であることが多い。生体内で “善玉”として機能している例として、覚醒レベルの維持、認知機能の亢進、抗ストレス作用、抗肥満作用などがある。春になると多くの人が悩む花粉症から薬の薬理作用を考えながら、“善玉”としてのヒスタミンの機能を紹介する。<br>