ノヴァーリスにおける統合的感官としての「眼」 「自己感覚」から「心情」へ / 大澤遼可
「世界の意味」の喪失という問題意識を提起し、自らの詩学的使命を「一冊の書物に宇宙を見出すこと」だと言明したドイツの詩人・ノヴァーリス。哲学・自然科学・詩学にまたがるこの詩人の思考の複雑性を明晰に分析・叙述する。ドイツ初期ロマン派の詩人ノヴァーリス(1772-1801)は、「世界の意味」の喪失という問題意識を提起し、自らの詩学的使命を「一冊の書物に宇宙を見出すこと」 だと言明している。この命題には、人間による世界認識の<br />過程である「世界の書物化」と、記述を通じた世界創造の過程である「書物の世界化」という二方向の活動が集約されている。この双方向的活動を、統合的感官だとされる「眼」を起点に論じる。哲学・自然科学・詩学にまたがる詩人の思考の複雑性を明晰に分析・叙述する、包括的ノヴァーリス研究。<br>大澤遼可
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2023年03月
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