カントの「嘘論文」を読む なぜ嘘をついてはならないのか / 小谷英生

いかなる場合にも嘘をついてはならないのか。晩年のカントが鋭く提起した思考実験の意味を気鋭の哲学者が解き明かす。本書は嘘をめぐる現代的問題を視野に入れながら、カントの「人間愛から嘘をつく権利という、誤った考えについて」(通称「嘘論文」)を翻訳・分析するものである。<br>第 I 部では、嘘という概念についての哲学的分析が行なわれる。そこでは嘘とは何か、正直さの義務はあるのか、嘘がもたらす害悪とは何かという三つの問いに、なるべく平易な文章で回答しようと試みた。<br>第 II 部では、「嘘論文」の概略を示し、執筆背景について簡単に整理した後、「嘘論文」の翻訳を掲載した。<br>第III部では、コンスタンのカント批判を踏まえながら「嘘論文」を詳細に分析し、『永遠平和のために』などのサブテキストを用いながら政治に対する道徳の優位というカントの立場を明確化した。(本書「はじめに」より)<br>(発行=白澤社)<br>小谷英生
現代書館
2024年04月
カント ノ ウソロンブン ヲ ヨム
コタニ ヒデオ
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