亀たちの時間 / フランチェスカ・スコ
イタリアの新星<br>フランチェスカ・スコッティ、初の邦訳<br><br>舞台はイタリアと日本。<br>ずっと終わらないことなんて、ない<br><br>夫婦、恋人、親友、家族……、<br>ふとした出来事をきっかけに<br>かけがえのない関係が崩れ、終わっていくシーンを<br>静かに描きだす15篇のショートストーリーズ。<br><br> ウエイトレスがやってくる。コーヒーと温めたタルトの香りがする。一匹の犬が吠える。ウエイトレスは飛びあがり、わたしも飛びあがる。わたしは粉々になったカップを見る。太陽に焼かれた板のあいだを黒い液体が流れていく。わたしがあなたのほうを向き、あなたを呼ぼうと腕をのばしたとき、あなたはもうそこにはいない。空になったあなたの椅子がわたしを怯えさせる。わたしは立ちあがり、あたりを見まわす。あなたはいない。(「ルナ」より)<br>フランチェスカ・スコ
現代書館
2025年09月
カメタチノジカン
フランチエスカスコツテイ
/