統一国家なき国民 もう一つのドイツ史 / ディーター・ランゲヴ
「遅れてきた国民」という通説は正しいか。ドイツの起源から国民国家成立までの歴史を「帝国」と「連邦」で紐解く刺激的な対抗構想。ドイツは統一国家の建設が遅れたため国民意識の醸成も遅れ、ゆえにドイツ人は「遅れてきた国民」と呼ばれてきた。それは、ヨーロッパ諸国の歴史は国民国家の建設に向かって進んでいたという長らく主流の座にある歴史理解に基づいている。しかし、それは本当に適切なのだろうか? <br>本書はニッパーダイ(「初めにナポレオンがいた」)、ヴェーラー(「初めには何の革命もなかった」)、ヴィンクラー(「初めにあったのは帝国であった」)による三大通史への対抗構想。統一国家なき国民の一体感こそがドイツ史の伝統であり、それは神聖ローマ帝国の連邦主義に発する――ドイツ史研究の最前線を凝縮した小著に、現代ヨーロッパ史に比較政治学の視座から取り組んできた研究者による詳細な訳注と解説を付す。<br>ディーター・ランゲヴ
みすず書房
2023年11月
トウイツ コツカ ナキ コクミン
デイ−タ− ランゲヴイ−シエ
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